デイケアの立場で考えるリカバリー

2026.08.15

今回はデイケアや一般的に使われているリカバリーについて話していきたいと思います。

 

リカバリーとは病気を治すことだけではありません。病気と上手く付き合いながら「こんな生活がしたい」「こんな自分になりたい」という希望に向かって、自分らしい人生を歩んでいくことです。デイケアではその一歩一歩を一緒に考えていきます。

 

例えば

*好きなことを楽しめるようになった。

*朝起きて外に出られるようになった。

*信頼できる人に相談できるようになった。

*自分らしい目標を見つけられた。

 

こうした一つ一つの積み重ねも、立派なリカバリーです。

リカバリーには、一人一人違った形があります。誰かと比べる必要はありません。

リカバリーはゴールではなく、その人らしい人生を歩み続けるプロセスです。

病気を治す・無くすがリカバリーとは限りません。

 

しかし、残念なことに日本では精神保健医療文化の中での枠組みがしっかりしすぎているためリカバリーに向けての治療がとても難しいです。

また、多くのデイケアではリカバリーすることなくデイケアを卒業し、再発してしまうことが多々あります。

 

一方でアメリカではセカンドチャンスを大切にしているので、発病してからの学びや経験をどうやって生活に取り組んでいるかを重きとして治療しています。

 

実際Mark Raginsが書いたRoad to Recover (2002年度版)では「精神患者のほとんどが薬物療法で安定し、社会保障の障害者給付を受けている。給付を受けられなくなり自立できるようになるのは3パーセントにも満たない」と書かれています。その結果“精神疾患は慢性化する病気”という認識の元当事者やその家族は生活しなくてはなりません。また、医療施設や福祉を含め精神疾患は治らない病気・リカバリー出来ない病気という勘違いが広がっていきます。

 

私は様々なリカバリーに関する研修の中で一番印象に残っている言葉があります。様々な偏見の中で生活されているがん患者の言葉で「がん患者はがん患者として見ないでほしい。一人の人間として見てほしい」です。これは精神疾患を持っている人にも同様のことが言えます。どんな病気であろうと人は一人の人間としてリカバリー=希望を持つことが出来ると考えます。

 

当院のデイケアでは、SSTやCBTなどのプログラムを通して、利用者さんが自分らしい生活を送り、希望を持って地域で暮らしていけるよう支援しています。これからも「その人らしさ」を大切にしながら、一人一人のリカバリーに寄り添う支援を実践しています。

 

SSTやCBTでは苦手をなくす訓練ではなく、「自分らしく生活するための力を増やす練習」です。少しずつできる事や対処法を増やしながら、自分が望む生活や目標に近づいていくことを一緒に目指していきましょう。

デイケアスタッフ 松井千幸