仕事をしていて日々感じること〜心療部〜

2025.12.01

通勤途中の電車の中やスーパーでお買い物をしている時、お散歩中や友達と遊んでいたり家でYouTubeを見ていたりする時に、目や耳や手にするちょっとしたものをきっかけに仕事をしている中で関わってきた人たち、仕事で出くわした場面が浮かんできます。「これ○○さんの話に出てきたな」「こういう場面△△さんだったらどうするかしら、どう感じるんだろう」「今日みたいな日を××さんはどう過ごしているんだろう」「今日は□□さんが◇◇へ行くって言っていた日だ」「最近◎◎さんどうしているのかな」等々。そのままその人とのことを考え続けたり、連想ゲームのように次々と他の方の顔が浮かび始めたり、心が自分の生活から離れることもしばしばあります。こんな風に表現されると、あなたのライフワークバランスは釣り合いが取れているの?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
 
「ライフワークバランス」という言葉を耳にした時、皆さんはどんなイメージを持ちますか。「仕事と生活をきっちりわけること」や「仕事以外の時間を大切にすること」と思い浮かべる方も多いかもしれません。改めて調べてみると「どちらかを犠牲にするのではなく、両方を充実させて好循環を生むこと」を意味するそうです。この定義を読んで、なるほどと思うと同時に、リワークに参加されている方や就労を目指す方と面談をする中で、私自身が「仕事と生活を切りわけること」ばかりを意識して話していたかもしれないなと感じました。それは、きっと多くの方が「両方を充実させたい」と願う中で、仕事の比重が大きくなりやすいからこそ、自分自身の生活に目を向けることを意識する話題が多くなるからなのだと思います。

では、私自身はどうなのか。前述したようにしばしば生活の中で仕事上での関わりや出来事に心が奪われることはあるものの、それによって生活が犠牲になっているという感覚にはなりません。クライアントと話したことを思い出し、自分の行動に変化をもたせてみたり、クライアントが言っていたものを調べてみたり、手にしてみたり、私自身の生活の幅に広がりや彩りが増えることもあり、今その時一緒にいなくてもなんだか“一緒に生きている”、そういう感覚になります。“両方を充実させて好循環”が生まれているとまではいかずとも仕事と生活が緩やかにつながり、互いに悪くない影響を与え合っているように思います。こう考えていると、クライアントの方々にとってはどうなのかしら、という思いが生まれます。

リカバリーが進んでくると面接と面接の間隔が長くなる方もいます。久々の面接の中で「早くセラピーで話したいって思ったけど、自分の力でなんとか乗り越えました」とか「この間こんなことがあって、前にここで話していたことにつながるなって思ったんです」とか伝えてくれることがあります。この時間が定期的になくてもここで一緒に取り組んだことが根付いている、この時間がこの人の生活に緩やかに、でも確実につながっているということを実感しました。クライアントの方々と私が一緒に取り組む内容は、すぐすぐ何か目に見える形になるものではないことがほとんどです。けれど、一緒に行った取り組みがそれぞれの生活の中に残り、well-beingを目指して進む中でのきっかけや支えとなっていく、そんな関わりを続けていかれたらと思います。
今後もどうぞよろしくお願いいたします。

心療部 横澤希美